傷み巧ち減びゆく美

唐招提寺の如来立像は奈良時代よリ1300年の時を経て、彩色がはがれ頭部や手を 失ってもなお凛として立っています。 そしてロ ーマのコロッセオは、 2000年の間大気にさらされ風化しながらも堂々と建ってい ます。 木や石など自然の素材はやがて 土に還っ ていき ます。 傷み巧ち滅びゆくさまにはかなさ を想いますが、 それと同時 に美しさを感じます。今回の作品たちは傷つき巧ちかけた木をノコで切り、 ノミで刻み太陽や月の光にあて、 風雨にさらし大気の中で作ってみました。 傷はそれ自体が 個性であリ、 無傷なものより深みがあり魅力的です。木工品や家具を作る場合、 傷のある部分は切り落としますが、 敢えて傷をとリ込み造型として生かしてみました。 個性的な色や質感を持つ木はいきいきとして、 削るたびに私の心に迫ってきます。
                           (2026年10月 彫刻家 吉岡 淳夫)

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