今回の秋の句会は、川越藩主柳沢吉保が築園した雅な大名庭園の「六義園」
で行われました。秋晴れのとても良い天気のもと、10名の参加者が集まり和や
かに始まりました。
俳句はたった十七文字の最も短い詩です。その中に色んな情景を詠み込む高度
な文芸です。句座での活発な意見交換が、座の文芸と言われている由縁です。
一人一句は神野昭子選として同窓会のSNS等へ掲載いたします。
次回冬の会の兼題は「酉の市」です。

其処へ10名が集まり、昼食後句会が始まった。
欠席投句も含め、夫々の力作である。

 紅葉狩り憩う沼部の十割蕎麦      和夫
 ボタンひとつ上まで留める夜寒かな   卓
 名月や団子を飾りはしゃぐ孫      政紀
 宝厳寺色里絶えて秋の風        道雄
 郊外の終バス一人夜寒かな       冨貴江
 散りてなほ艶やかなりし秋薔薇     泰男
 酒樽の醪つぶやく夜寒かな       環
 細き影踏みつつ帰る夜寒かな      ひろ子
 金色の波の穭田さわさわと       幹
 秋雨や古看板の畳店          道夫
 バス降りて一足ごとの夜寒かな     千秋
 里山や棚田を描く彼岸花        等
 言ひ過ぎた言葉ほぞ嚙む夜寒かな    由美
 秋簾色褪せたれど仕舞ひかぬ      人
 積み置きし文庫手にとる夜寒かな    修平
 遠ざかる長き汽笛の夜寒かな      誠一
 青天や金木犀の香る道         豪騎
 手造りの新蕎麦を待つそぞろ寒     幸宏
 時雨るるや言ひそびれたることのあり  いづみ
 寺町の風が竹追ふ竹の春        昭子
本日の最高得点は
   秋雨や古看板の畳店  道夫

句座で毎回の検討会の成果が現れている。
作句も選句も上達していると思う。