前回の春の句会に続き、 夏の句会も紙上句会となった。

中々外出が出来ない中、兼題の『打水』をはじめ、 色々と工夫を凝らして作られた句の数々、 とても良い句ばかりであった。

今回から21期の早川いづみさんが加わり、 前回からの松山からの参加者を含め 24名の参加であった。

神野昭子選

打水や老舗菓子屋の佇まひ       和夫

持て余すスマートフォンや夏衣     卓

打水し開場間近末廣亭         直樹

独り言多くなりけり梅雨静寂      八重子

打水や露地鎮まりて安堵かな      道雄

打水や古代を語る菊花石        政紀

出先から帰り一息夏衣         恵子

潮騒に寝付けぬ宿の明早し       冨貴恵

打水や一日かかり客迎ふ        文江

蓮の葉に今宵限りのひとしづく     礼子

打水や縁台将棋路地の奥        泰男

打水や若き板場の杓さばき       環

打水の届かぬ先へもう一歩       ひろ子

太極拳再び集ふ小暑かな        幹

梵鐘のまだ鳴りやまぬ苔の花      千秋

夏雲やひらがな躍る道標        道夫

不如帰夜明けの寂に鳴きにけり     等

白服の裾ひるがへる朱夏の人      由美

飛び石に水打たれたる躙り口      人

子燕や妻手ほどきの夫料理       修平

もうちよつとつづけとうみとほととぎす 幸宏

はひはひの裸子逃げる早さかな     いづみ

打水や開店前に行列す         誠一

梅雨晴やパタンパタンと象の耳     昭子

今回の最高点は

   梵鐘のまだ鳴りやまぬ苔の花  千秋

   はひはひの裸子逃げる早さかな いづみ

歳時記は美しい詩語の宝庫。 季語を信頼して季語の説明にならない様、

説明句や報告句を作らない。

次回秋の兼題は『燕帰る』 傍題として帰燕、秋燕、秋燕(しゅうえん)