今月は
外部講師 江口 博氏による
「奥の細道」3回シリーズの第2回。

「発句で辿る『おくのほそ道』」

前回、我々が選んだ句から芭蕉の足跡を辿る。

千住から岐阜の大垣まで
46歳の芭蕉が旅した、全行程約六百里
約百五十日間の行程。

奥の細道の基本は
みちのくの旅の物語で、芭蕉が伝えたいことは
連句から始まった言葉遊びを文芸にしたい。

五七五の発句で説明ではない何かを伝えるため。

謂い尽くして何がある。
尽さないことによる無限の想像力。
現世の様々な事を断念して生きる。→捨てること。

 
 田一枚植て立去る柳かな

  白川の関  遊行柳
  西行から一遍、世阿弥をへて漂泊の心。

 夏草や兵どもが夢の跡

  平泉
  義経が最期を遂げた高館を偲び
  国破れて山河あり、城春にして草木深しの
  詩とだぶらせた。

 閑さや岩にしみ入蝉の聲

  立石寺(山寺)
  蝉の鳴きしきる現実の世界とは別の
  閑さを感じ取った。

 五月雨を集めて早し最上川

  五月雨を集めて凉しを
  舟中からとらえた早しと表現した事によって
  切れによる詩歌との違いが確立された。

 荒海や佐渡によこたふ天河

  出雲崎(越後)
  同行の曾良の日記によると、その夜は
  強い雨であった。
  どこでの作句か、翌日の直江津の今町では
  七夕と題して荒海やがある。
  芭蕉の深い思いが、「銀河の序」にある。

講師の心にしみる語り口により、
一層芭蕉の凄さが感じ取られた一時であった。